アフリカの虹(2)〜タンザニア民話

2010.05.17

もう一つアフリカ関連の「虹」のお話を。

タンザニアといえばキリマンジャロで有名ですが、
この国に古くから伝わる民話の一つに、
「虹の七色どこからきたの?」というお話があります。

出典は『タンザニア民話とティンガティンガ』というスワヒリ語教材の絵本で、
この本にはタンザニア民話とともに「ティンガティンガ」とよばれるアフリカンアートの挿絵が使われています。

全部で6つのお話が紹介されていますが、
どのお話も野生動物の宝庫タンザニアらしいもので、
たとえば「キリンはなぜなかないの?」とか「ヒョウはなぜえものを木の上にかくすの?」といった、およそ私たちの感覚とは異なるタイトルが付けられています。

では「虹の七色どこからきたの?」のあらすじをご紹介します。
(『タンザニア民話とティンガティンガ』絵 アブダルA.ムクーラ / 文 宇野みどり / 国際語学社 より部分抜粋)
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むかしむかし、鳥さんやチョウさんたちの羽の色は今とちがい、
みんなおなじ色、つまり一色だったのです。

あるとき、わるい伝染病が地球上をおそい、
サバンナの動物たちはつぎつぎと病気でたおれてしまいました。
鳥さんやチョウさんたちは空を飛べたおかげか、あまり病気にならなかったので、
一生懸命ほかの動物たちをたすけ、看病してあげることができました。

やがて病気はおさまり、元気を取り戻した動物たちは(中略)
鳥さんやチョウさんの羽にいろいろな色をぬって、うつくしくしてあげようときめました。
(中略)鳥さんやチョウさんたちの羽はすばらしくきれいになりました。
ところがそのとき、まだぬった色がかわかないうちに、
なんと大雨が降ってきたのです。(中略)
せっかくぬってもらったきれいな色はとけだしてしまいました。

地球に虹があらわれたのは、このときからです。
羽にぬられた色が雨に溶けてできたのです。
そのおかげで私たちは、今でも雨あがりにうつくしい虹を見ることができるのです。
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お国が変われば民話もまったく変わってしまうのですね。
私たちが慣れ親しんできた「ももたろう」や「うらしまたろう」を、
アフリカの子どもたちが聞いたら、どう思うのでしょう?

国旗の色にしても、虹のいわれについても、
その国の文化や歴史、気候風土と深くつながっているところがおもしろいと思いませんか。

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