【ちとせみどり】不老長寿の象徴である常盤(ときわ)の松のような深くて渋い緑色のことです。松のような常緑樹は冬でも葉を落とさないことから、おめでたいものの象徴とされてきました。千歳緑は千年の間 色が褪(さ)めないという縁起のいい色名です。
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苔色
【こけいろ】苔のような渋みのあるくすんだ黄緑色のことです。湿度の多い日本では苔が生えやすく、他国にはない独特の苔文化を持っています。苔のじゅうたんで覆われた美しい庭園を眺めていると、心が静かに落ち着いてくるのは、日本人ならではの感覚ではないでしょうか。
柿色
【かきいろ】熟した柿の実のような黄味の強い橙色です。さらに熟して赤味が強くなったものを「照柿色」といいます。柿は実りの秋を代表する色として、古くから私たちの生活に根付いていました。もともとは渋柿の実で染めた深く渋い橙色を、「柿色」と呼んでいましたが、近世になってからこちらは「柿渋色」と言われるようになりました。
山吹色
【やまぶきいろ】山吹の花のように鮮やかな、赤みの黄色です。日本の伝統色名には紫やピンクの花に由来するものはたくさんありますが、黄色の花に由来する色名は山吹色くらいで、黄色の代表ともいうべき色名です。江戸時代になると、大判・小判の黄金色(こがねいろ)も山吹色と呼ばれるようになりました。時代劇の定番シーン、越後屋と悪代官のやりとりで、菓子箱に詰められた賄賂の大判・小判を「山吹色の菓子」と表現するのはここからきているのですね。
漆黒
【しっこく】黒塗りの漆器のような、深みがあり美しい光沢を持つ黒のことです。艶のある美しい黒髪のことを「漆黒の黒髪」と表現します。この他にも黒髪には「みどりの黒髪」や「烏の濡れ羽色」などの表現があり、みどりの黒髪の「みどり」とは新しく生まれたみずみずしいものを意味し、「烏の濡れ羽」とは濡れた烏の羽は光沢が増し黒が強くなるという意味で、どれも美しい黒髪への褒め言葉です。
蒸栗色
【むしくりいろ】蒸した栗の実のような淡く柔らかい黄色です。炊き上がった栗ご飯の、白いご飯の間から顔を出す栗の美味しそうな色です。
海老色
【えびいろ】この色は、平安時代頃までは「葡萄色(えびいろ)」と呼ばれていましたが、近世になるとこの色に対する人々の連想が、山葡萄の実の色から伊勢海老の殻の色に変ってきたため「海老色」という文字があてられるようになりました。
やがて江戸時代になると、茶色の流行から海老茶(えびちゃ)と呼ばれるようになりました。明治以降には、女子大生の袴の色に使われ、矢絣(やがすり)の着物と海老茶の袴、髪には大きなリボンをつけるハイカラさんスタイルとして流行しました。一つの色にも長い歴史があるのですね。
白藍
【しらあい】「延喜式」によると藍染めの色は深藍(こきあい)・中藍(なかのあい)・浅藍(うすきあい)・白藍(しらあい)の四段階に分かれていました。白藍は藍色の中で一番薄い色名で、藍だけでなく黄色が入っているので少し緑がかっています。
卯花色
【うのはないろ】空木(うつぎ)という植物が咲かせる花のことを、卯の花といいます。初夏に小さな白い花を枝いっぱいに咲かせるため、雪が枝に積もっているようだと表現されるほどでした。ちなみに豆腐のおからを卯の花と呼ぶのは、白さが似ていることからその名が付いたそうです。
露草色
【つゆくさいろ】露草の花のような明るい青色です。露草の花の汁を摺り付けて染めた露草色は色が落ちやすいことから『万葉集』では「うつろう」「消える」などにかかる枕詞に使われていました。また朝咲いた花が昼しぼむことから、儚さの象徴として詠まれたものが多くあります。