《クリスマスの色2》サンタの服はなぜ赤いの?太ったおじいさんなのはなぜ?

2006.12.23

《クリスマスの色2》サンタの服はなぜ赤いの?太ったおじいさんなのはなぜ?
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サンタクロースのモデルになった人物は、4世紀頃、現在のトルコに実在していたセント・ニコラスだと言われています。彼はカトリックの司教でした。子どもが大好きで、慈善事業に力を尽くした人物だったようです。

やがてセント・ニコラスの存在は伝説化し、ヨーロッパ各地に伝わるとともに、それぞれの国で独自のイメージが形づくられていくことになりました。
オランダではセント・ニコラスのことをシンタークラウスと呼んでおり、それがサンタクロースの語源となりました。

古い時代に描かれたサンタクロースは、赤以外に青や緑、白い服を着ていることもありました。中でも、赤い服はキリスト教における「司教の正装」であり、慈愛の象徴だったため、時とともにサンタクロースの服色は赤に統一されていきました。
しかしながら体型は、痩せていたり、小人(こびと)だったり、まちまちだったのです。

では、現在のような陽気で温かみのある、あの体型は、いつ頃から定着したのでしょうか?

ご存知の方もいらっしゃると思いますが、1931年 米国コカ・コーラ社が、画家のハッドン・サンドブロム(Haddon Sundblom)を起用し、販売促進のための広告として雑誌に掲載した絵が、現在のサンタクロースのイメージを形づくるきっかけになりました。
赤と白で統一された衣装は、まさにコカ・コーラ社のコーポレートカラーそのもの。
その後1964年まで、30年以上の長い年月にわたり、サンドブロムはコカ・コーラ社のために絵を描きました。

サンタクロースのイメージは30年代のアメリカから来たものだったのですね。

私がこの話を始めて知ったのは、サンドブロムの原画の展示会を見た時のことでした。原画は油彩でとても緻密に描かれており、その生き生きとした表情は今にも動き出しそうでした。1992年のクリスマスの頃です。

カラーの仕事を始めたばかりの私は、サンタクロースの赤い服の由来が司教服だということも知らず、現在のサンタクロースのイメージはコカ・コーラ社の広告戦略の一環として生まれたことも知らず、まさに目からウロコが落ちる思いでした!

【画像:左】原画の展示会場にて買い求めた画集の表紙
【画像:右】プレゼントを配る途中でちょっと一息 コーラを飲むサンタ[画集より]

参考文献
『 Dream of Santa Haddon Sundblom‘s Vision』
『サンタクロースとその仲間たち/フェリシモクリスマス文化研究所発行』
【ご興味のある方はこちらも】
日本コカ・コーラの子ども向けサイトでは、サンドブロムの絵と解説を楽しめます

【2006年11月 記】いつもお読み頂きありがとうございます。

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