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玉子色

【たまごいろ】卵の黄身のような黄色です。江戸時代に誕生した色名ですが、この時代の卵の黄身は今よりも少し薄い黄色でした。黄身の色は鶏のえさによって濃くも薄くもなるそうで、えさのトウモロコシに赤いパプリカやマリーゴールドを混ぜたものを食べさせると、なんと濃いオレンジ色の黄身になるそうです。現代ではこちらの黄身の方が、見た目に美味しそうだということで、よく売れているようです。そういえば最近、薄い黄色の黄身の卵をあまり見かけなくなりましたね。

水浅葱

【みずあさぎ】藍染の薄い浅葱色(あさぎいろ)のことです。藍染は藍瓶(あいがめ)に糸や布を何回も浸して濃い色に染めていきます。最初の段階を瓶覗(かめのぞき)といいますが、その次に淡く薄い色がこの水浅葱だったそうです。薄い色ということで手間がかからず安価だったことから江戸時代には囚人服の色とされていたそうです。

浅葱色

【あさぎいろ】薄い葱(ねぎ)の葉のような明るい青緑色のことです。江戸時代、田舎から出てきた侍の羽織の裏地が浅葱色であることが多かったため、気の利かない田舎侍を浅葱裏(あさぎうら)と呼び野暮の代名詞になっていたそうです。

薄紅梅

【うすこうばい】紅梅色(こうばいいろ)をやや薄くした色が薄紅梅です。紅色系は平安後期に愛好され、紅梅色も人気が高く、重ねの色目や当時の文学にもよく登場します。紅花染の濃さにより、薄紅梅、中紅梅(なかこうばい)、濃紅梅(こきこうばい)の3段階に分かれます。

苗色

【なえいろ】初夏の光をたっぷり受けて、天を突くように伸びている力強い稲苗の色です。若苗が生長して、緑色が濃さを増してきた頃の色です。

洗朱

【あらいしゅ】朱色が淡く薄くなったような色のことです。「洗(あらい)」には「色が薄くなった」という意味があります。明治後期、行き過ぎた西欧化に反発して日本文化を大切にしようという気運が高まり、このような日本的な古風な色が新しく登場しました。

朱色

【しゅいろ】硫化水銀を主成分とする朱色顔料で、鮮やかな黄みの赤です。朱色は古くから権威の象徴とされていました。古代中国では天子から門を朱色に塗ることを許された家のことを朱戸や朱家といい、名門の家柄を表したそうです。日本では江戸時代、このような朱塗りの門は将軍家から娘を嫁にもらった大名にしか許されていなかったそうです。加賀藩前田家の上座敷門だった現東京大学の赤門も、朱塗りで有名です。

白茶

【しらちゃ】文字どおり白っぽい茶色のことです。江戸中期には比較的濃い茶色が流行しましたが、江戸後期になると茶人や粋な人々の間でこのような薄い茶色がもてはやされました。

牡丹色

【ぼたんいろ】牡丹の花のような鮮やかな赤紫色です。牡丹は春から夏のはじめに、大振りの花弁を重ねるようにして大輪の花を咲かせます。
その美しいようすは、「立てば芍薬(しゃくやく) 座れば牡丹 歩く姿は百合の花」という女性の美しさを表現する言葉として残っています。
(立った姿は芍薬の花のようにすらりと美しく、座っている姿は牡丹の花のようにあでやかで気品があり、歩く姿は百合の花のように清く美しい)

素鼠

【すねず】鼠色には白に近い白鼠(しろねず)から黒に近い消鼠(けしねず)まで明度段階があり、〇〇鼠という色名が数多くあります。素鼠は白と黒のちょうど中間ぐらいの色です。