《実りの色2》落栗色(おちぐりいろ)

2007.10.20

《実りの色2》落栗色(おちぐりいろ)

◆熟した栗の実の皮色のような、赤みのある茶色をさす色名で、源氏物語の一節にも登場するほど古くからその存在が確認されている色です。

◆平安時代の貴族の女房装束の配色のことを「かさね色目」といいますが、この言葉の意味するところは二通りありまして「1、袷仕立(あわせしたて)の衣の表裏の配色を指す場合」と「2、装束(十二単)としてその衣を何枚も重ね着した時に現れる配色をさす場合」があります。この分野の研究者として第一人者だった故長崎盛輝先生はその著書の中で1を「重色目」2を「襲色目」と区別して表記していますが、この1の配色の中に「落栗色」という配色があり、表は蘇芳・裏は香色の薄絹を重ねたものであったとされています。

◆平安時代の貴族にとって、この配色の知識は必須のものだったようで、秋には秋のかさね色目を、冬には冬のかさね色目を用いるのがしきたりとなっていました。

◆やがて江戸時代になると、俗に「四十八茶百鼠(しじゅうはっちゃひゃくねず)」といわれる程に茶色が流行したため、このような色は「栗皮茶(くりかわちゃ)」と呼ばれるようになりました。

◆現代では、一般的に「栗色(くりいろ)」と呼ばれます。

◆今回使用した家紋はグリーティングカード・ポストカードともに「抱き栗」というものです。栗は縄文時代から食されており、戦国時代には戦に勝つための縁起物として大切にされていました。(家紋に関する参考文献『日本の家紋入門』楠戸義昭著/幻冬舎)

【画像:左】落栗色のグリーティングカード
【画像:中央】熟した栗の実
【画像:右】落栗色のポストカード

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