蟹(かに)・算盤(そろばん)…昔の人は何でもデザインに!〜ゆりかもめ駅巡り【6】

2008.12.25

【画像左:市場前駅/中央:新豊洲駅/右:豊洲駅】
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蟹(かに)・算盤(そろばん)…昔の人は何でもデザインに!〜ゆりかもめ駅巡り【6】
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16駅、あっという間の1時間半でした。とはいえ、コラムにしてみたら全6回に。
ここまでおつきあい頂き、ありがとうございました。

昔の日本人はすごいですね。身近にあるものを何でもデザインし、文様に昇華してしまう。
今日ご紹介するものは特にユニークな文様です。

【市場前駅】は【変わり縞に蟹(かわりじまにかに)文様】、色は【蘇芳色(すおういろ)】
牡丹(ぼたん)の花を模した蟹(かに)の文様に縞模様を組み合わせたもの。蟹の甲は魔除けになるとされていたようです。

色について…蘇芳色は、以前こちらのコラムでご紹介しましたので今回は割愛させて頂きます。カテゴリ「日本の伝統色」より《実りの色?》をご覧ください。
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【新豊洲駅】は【算盤縞(そろばんじま)文様】、色は【江戸紫(えどむらさき)】
算盤(そろばん)が庶民の間に広く普及したのは江戸時代。この文様も江戸時代のものです。町人好みの粋な柄として流行したのだとか。

色について…江戸紫と京紫の違いをご存知ですか?
江戸紫は青みの濃い紫。対する京紫は赤みの紫で、まろやかな色あいです。
当HP『色名辞典』のコーナーより、江戸紫と京紫を一度にご覧いただけます。
色名辞典〜紫系統
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【豊洲駅】は【水に雨龍(みずにあまりょう)文様】、色は【紺碧(こんぺき)】
龍は想像上の動物。雨龍(あまりょう)は天に昇って雨を降らせ、幸運を呼ぶとされています。雨が降れば田畑が豊かに潤い、秋の豊穣が約束されるということでしょうか。

色について…紺碧の海、紺碧の空などのように、自然界の深い青を表現する色です。
実は私は、もう少し濃い青のことを「紺碧」と呼ぶのだと認識していたのですが、これも調べてみると辞典により、その色みはまちまちです。
色名というのは、時代とともに変化することもあり、また地域によって認識が異なることもあり、ピンポイントで定義することができない性質をもっています。

【歌は世につれ世は歌につれ】という言葉がありますが、色の名前もそれと良く似ていて、人々の暮らしとともに存在しているのです。『ゆりかもめ』のテーマカラーを通して、昔の人々の生活が垣間見えた楽しい一日でした。

〈ゆりかもめ駅巡り・おわり〉

※『ゆりかもめHP』の中に、駅文様の一覧が掲載されています。気になる駅がありましたらクリックしてみると、その駅のページにリンクして文様の詳しい解説が読めます。残念ながら色に関しては特に解説がないのですが、眺めているだけでも素敵です。また、実際にゆりかもめに乗り、車窓からの風景を眺めているようなバーチャル駅巡りも楽しめます。
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